タコブログ〜公認心理師と共に楽しむ〜

日々が楽しくなるようなコツを、公認心理師が心理学の知識を用いて紹介します。また、世の中の名言(時に迷言)を独断と偏見で心理学的に解釈していきます。

【苦しい時の対処法】必要以上に悩まない!問題を自分の外に出す方法【子どもの心理学】【外在化】

どうして僕はいつもダメなんだろう。

 

おやおや、どうしたのタコくん。

 

いつも落ち込んでばかりでもう辛い!

 

辛いんだね。ちなみに、どんなことで落ち込むの?

 

最近はね、ネガティブな考えが頭を支配しているようで辛いんだ。

 

ネガティブな考えが浮かびやすいってことかな?

 

そうだよ。ネガティブな自分なんてもうだめだ。

 

自分なんて~って考えちゃうんだね。そのネガティブな考えがタコくんを苦しめているんだね。

 

うん。そんな風にネガティブに考えちゃう僕が悪いんだ。うわーん!(泣)

 

自分が悪いって考えちゃうのか。ちなみに、その悪い考えって、どんなイメージ?

 

イメージ?

 

いい奴そう?嫌な奴そう?

 

もちろん、嫌な奴だよ!

 

嫌な奴かあ。先生もその嫌な奴の顔をおがんでみたいな。ねえねえ、イメージでいいからさあ、その嫌な奴を絵で描いてみない?

 

絵で?いいけど……

 

できた?

 

まあ、こんな感じかな

 

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うわー!これは嫌な顔してるね!たしかに、こいつがタコくんの頭の中にいるとしたら、そうとう辛いだろうね。

 

うん、追い出したいよ。

 

ちなみに、こいつに名前をつけるとしたらなんて名前にする?

 

そうだなぁ……いつも僕の邪魔ばかりしてくるから、ジャマイカ

 

ジャマイカね。じゃあこれから、このジャマイカを追い出すための作戦を、先生と立ててみようか。

 

うん!やっつけてやる。

 

よし!そしたら、このジャマイカが現れる時について具体的に教えてね……

 

 

 

子どもの問題を子どもから“外”に出す

 

私は職業柄、悩みを抱える子どもとの面接をすることがちょこちょこあります。

 

そのような中で、子どもによっては起きている問題を自分のせいとして、必要以上に自分を責めてしまい、苦しんでいる場合があります。

 

そんな時、先ほどのタコくんとのやり取りのように、子どもが抱えている問題を、子どもから少し引き離す(距離をとらせる)作業をとることがあります。

 

これを、専門業語で“問題の外在化”と言います。

 

※問題の外在化は、大人にも使うときがあります。大人の場合、絵を描かせることはまれですが、言葉によるやり取りの中で、問題とその人を少し切り離すようにします。

 

例:「〇〇さん自身がこれまで悩まれていたことは、〇〇さん自身というよりも、〇〇さんんの考え方のクセによるものかもしれません」

 

⇨自分自身が悪いというよりも、考え方のクセが悪いというように、クセに焦点(解決ポイント)をあてさせる。

 

問題を外在化することの利点

 

たとえば、不登校の子どもの中には、学校に行けないことを自分のせいにしすぎて落ち込んでしまう子が少なくありません。

 

そんな時、”学校嫌い虫”とか”学校に行かせないおばけ”など、その子のネーミングで、問題をその子の外に出す作業をすることがあります。

 

問題を自分の外側へと客観視することによって、自分から切り離して心理的な問題へと対処しやすくなります。

 

人は、自分の心の問題に対して圧倒されてしまうと、必要以上に自分を責めてしまったり、傷つけてしまう時があります。

 

そんな時、この外在化をすることで、その人自身からその問題を切り離し、距離ができるとその子に少しだけ余裕が生まれます。

 

余裕ができると、その外在化されたものをどうやって自分から切り離すか、という解決思考に頭が切り替わっていきます。

 

落ち込みやすい性格だからダメだ、

 

とか、

 

学校に行けない情けない性格でダメだ、

 

などと、自身の性格を決めつけて否定するのではなく、どうやったら今のネガティブな状況から抜け出せるか、という子ども自身の(もちろん大人でも)準備のためにも外在化はおすすめです。

 

外在化の注意点

 

子どもの中には、この外在化の作業を極端に嫌がる子がいます(イメージしたくない、絵を描きたくない等)。

 

嫌がる子どもには、無理をさせないようにしましょう。でも、ちなみにイメージする(絵を描くこと)ことのどんなことが嫌?くらいは聞いてあげてもいいかもしれません。

 

また、子どもの中には、タコくんのような嫌な感じの絵ではなく、すごく親しみ深い絵を描いてくれる子もいます。

 

そんな時には、素直にその絵のことに関して述べてあげるといいかもしれません。

 

例えば、

 

「笑ってる絵だね」

 

とか、

 

「めちゃくちゃ悪い奴じゃなさそうって思えるような優しい絵に感じるなあ」

 

とか。

 

子どもにとって(大人にとってもですが)の症状は、その子に100パーセント悪いものとは限りません。

 

むしろその症状にその子自身が守られている場合が少なくありません。

 

なので、子どもが描いてくれた絵から得られる印象というのはとても大事です。

 

その子の症状を「嫌なもの」と大人の方が決めつけてしまわないためにも、この外在化を用いる時は、少し注意が必要です。

 

 

以上、今日も読んでいただきありがとうございました。

 

これからも大人に関する心理学だけでなく、子どもに関する心理学についても描いていきたいと思います。

 

皆さんにとって良い一日となりますように。